○稲沢市火災調査規程

平成17年4月1日

消本訓令第20号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 火災の定義等(第4条―第7条)

第3章 調査体制(第8条―第12条)

第4章 火災原因調査(第13条―第20条)

第5章 質問(第21条―第25条)

第6章 原因の認定(第26条・第27条)

第7章 火災損害調査(第28条―第30条)

第8章 資料の提出等(第31条・第32条)

第9章 鑑定等(第33条)

第10章 報告(第34条・第35条)

第11章 雑則(第36条―第39条)

付則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、別に定めがあるもののほか、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づいて行う火災の調査(以下「調査」という。)について、必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 調査は、全ての火災の原因及び損害を明らかにして将来の火災予防対策及び警防施策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(調査の区分)

第3条 調査を、火災原因調査と火災損害調査に区分する。

2 火災原因調査は、次に掲げる事項について行うものとする。

(1) 出火原因

出火箇所並びに発火源、経過及び着火物

(2) 初期消火等の状況

火災の発見、初期消火及び通報の状況

(3) 火災の性状

煙の流動状況、延焼経路及び延焼拡大の要因

(4) 避難状況

火災の現場における避難者、要救助者の行動及び救出救助の状況並びに死傷者発生の状況

(5) 消防用設備等の状況

消防用設備等の設置及び活用の状況

(6) その他必要な事項

3 火災損害調査は、次に掲げる事項について行うものとする。

(1) 焼毀損害

火災により焼毀した物及び熱により破損した物の損害

(2) 消火損害

火災の消火活動によつて受けた水損、破損、汚損等の損害

(3) 爆発損害

爆発現象の破壊作用により受けた前2号以外の損害

(4) 人的損害

火災による死者及び負傷者

第2章 火災の定義等

(火災の定義)

第4条 火災とは、人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であつて、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。

(火災件数)

第5条 火災の件数は、1つの出火点から拡大したもので、出火に始まり鎮火するまでを1件とする。

2 飛び火による火災が現場から消防部隊(稲沢市警防活動等に関する規程(平成19年稲沢市消防本部訓令第5号)第2条第4号の消防部隊をいう。)が引き揚げた後に発生したときは、当該火災は別件の火災とする。

(火災の種別)

第6条 火災は、次のように区分する。

(1) 建物火災

建物又はその収容物が焼損した火災をいう。

(2) 林野火災

森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。

(3) 車両火災

次に区分する自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。

 自動車車両とは、の鉄道車両以外の車両で、原動機によつて運行することができる車両をいう。

 鉄道車両とは、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客、貨物の運送を行うための車両又はこれに類する車両をいう。

(4) 船舶火災

船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。

(5) 航空機火災

航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。

(6) その他の火災

前各号に掲げる火災以外の火災(空地、田畑、道路、河川敷、ごみ集積場、屋外物品集積場、軌道敷、電柱類等の火災)をいう。

2 1件の火災で異なる種別の火災が発生したときは、焼毀損害額の大きなものの種別による。ただし、焼毀の態様により焼毀損害額の大きなものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。

(焼損の程度)

第7条 焼損の程度は、次のように区分する。

(1) 全焼

建物の焼毀損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であつても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。

(2) 半焼

建物の焼毀損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。

(3) 部分焼

建物の焼毀損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のものでぼやに該当しないものをいう。

(4) ぼや

建物の焼毀損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損床面積が1平方メートル未満のもの、建物の焼毀損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損表面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみ焼損したものをいう。

第3章 調査体制

(調査の主体)

第8条 調査の主体は、予防課長とする。

2 前項の規定にかかわらず、次に定める調査の主体は、消防署長(以下「署長」という。)とする。ただし、現場において、出火原因が明らかでないものは、予防課長に技術協力を求めることができる。

(1) 第6条第1項第3号で定める車両火災

(2) 第6条第1項第6号で定めるその他の火災

(3) 建物火災で焼損面積が30平方メートル以下のもの

(調査の実施)

第9条 予防課長又は署長(以下「予防課長等」という。)は、管内に火災が発生したときは、直ちに調査を実施しなければならない。

(調査責任者)

第10条 予防課長等は、調査に従事する消防職員(以下「調査員」という。)の中から当該火災の調査の責任者(以下「調査責任者」という。)を指名するものとする。

2 調査員は、当該火災を調査した後、関係書類等を速やかに調査責任者に提出しなければならない。

(調査の協力)

第11条 消防長は、必要があると認めるときは、予防課長及び署長に調査を協力して行わせることができる。

(調査員の心得)

第12条 調査員は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 常に火災の現象、関係法令、社会の動向、その他調査に必要な知識の修得を図り、調査能力の向上に努めること。

(2) 相互の連絡協調を図り、調査全般の進行を円滑に行うよう努めること。

(3) 民事的紛争には、関与しないこと。

(4) 警察官と緊密な連絡を保ち、互いに協力をすること。

(5) 調査に際しては、言葉づかいには十分に注意し、権力的な言動は厳に慎み、相手方の名誉を尊重し、調査の協力を得られるように心掛けること。

第4章 火災原因調査

(調査の原則)

第13条 火災原因調査は、火災の実態を明らかにするために、事実を確認することを主眼とし、先入観に捕らわれることなく、科学的な方法と合理的な判断によつて行われなければならない。

(消火活動中の現場保存)

第14条 消火活動に従事する消防職員は、出火箇所と認められる場所及びその付近(以下「現場」という。)の消火活動に当たつて物品を移動し、又は破壊しようとする場合は、調査に支障を及ぼさないよう現場の保存に努めなければならない。

(消火活動後の現場保存)

第15条 予防課長等は、消火活動を終了した場合において、現場保存の必要があると認めるときは、次に掲げるところにより現場保存の処置を行うものとする。

(1) 現場保存区域は、調査上必要最小限度にとどめること。

(2) 現場保存区域は、ロープ張り又は貼札等で表示すること。

(3) 現場保存区域は、必要に応じ監視員を置き、保存の万全を図ること。

(4) 現場保存区域には、関係者(法第2条第4項に定める関係者をいう。)その他火災に関係のある者(以下「関係者等」という。)であつてもみだりに出入りさせないこと。

(死者の取扱い)

第16条 予防課長等は、火災現場において死者を発見したときは、直ちに消防長に報告するとともに、所轄警察署長に通報し、必要な措置を講じなければならない。

(火災出動時における状況の見分)

第17条 火災現場に出動した消防職員は、火災の状況を見分しておくとともに、燃焼状況、関係者等の言動その他調査上必要と認められる事項を見聞したときは、速やかに調査責任者に報告しなければならない。

2 前項の規定により見分を行つた先着隊の小隊長は、必要に応じ火災出動時における見分調書(様式第1)を作成しなければならない。

(実況見分)

第18条 調査員は、火災現場を見分するとともに、火災原因の認定に必要な資料の収集に努めなければならない。

2 前項の規定により火災現場を見分し、又は資料を収集するときは、関係者等の立会いの下に行わなければならない。

3 調査責任者は、前項の規定により見分を行つたときは、必要に応じ実況見分調書(様式第2)を作成しなければならない。

(写真)

第19条 調査員は、前条第1項の規定により見分を行うときは、火災現場及び見分の内容を明らかにするため、写真による記録を行うものとする。

2 前項の写真は、火災現場記録写真(様式第3)又は関係書類に添付し、必要な説明を記載しておかなければならない。

(復原図)

第20条 調査員は、実況見分及び関係者等に対する質問等により知り得た事実を基礎として、現場の復原図(様式第4)を作成しなければならない。ただし、火災の種別、規模、態様等により復原図を必要としないと認めるときは、この限りでない。

第5章 質問

(質問)

第21条 調査員は、関係者等に質問し、火災原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。

2 前項の規定による質問は、強制的な手段を避け、関係者等の任意の供述を得るように努めなければならない。

3 関係者等の伝聞による供述で調査上必要と認める事項については、その事実を直接経験した者に質問して供述を得るように努めなければならない。

(質問調書)

第22条 調査員は、前条の規定により知り得た事項で、原因の判定に必要であると認めるものについては、火災質問調書(様式第5)にその供述を記録しなければならない。

2 前項の規定により関係者等から供述を記録したときは、当該関係者等に閲覧させ、又は読み聞かせ、記載事項に誤りのないことを認めたときは、火災質問調書に署名を求めるものとする。

3 前項の関係者等が署名を拒否したときは、調査員は、その旨を火災質問調書に記載しておかなければならない。

(児童等の立会い等)

第23条 調査員は、児童(満18歳に満たない者をいう。)、精神に著しい障害のある者、ろうあ者等(以下「児童等」という。)第18条第2項の規定による立会いをさせ、第21条第1項の規定による質問をし、又は前条第2項の規定による閲覧をさせ、若しくは読み聞かせをするときは、親権者その他の保護者(以下「保護者等」という。)の立会いの下において行わなければならない。

2 被質問者が児童等である場合の火災質問調書への署名は、立ち会つた保護者等について前条第2項及び第3項の規定を準用する。

(児童等の立会い等の例外)

第24条 第18条第2項及び前条の規定は、次に掲げる場合は適用しないことができる。

(1) 年齢、心情、家庭環境その他事情を考慮して支障がないと認められる場合

(2) 立会人を置くことにより事実の供述が得られないと認められる場合

(被疑者に対する質問)

第25条 調査員は、警察署に留置された放火又は失火の犯罪の被疑者に対して質問する場合は、警察署長の承諾を得た後に行うものとする。

第6章 原因の認定

(原因の認定)

第26条 火災の原因は、実況見分、質問その他の関係資料を総合的に検討して判定するものとし、その立証に当たつては物的調査による資料を基礎とし、人的調査による資料によりこれを裏付けるものとする。

(火災原因判定書)

第27条 調査責任者は、前条の規定により、火災の原因を認定したときは、火災原因判定書(様式第6)を作成しなければならない。ただし、火災の種別、規模、態様等によつては、第34条に規定する火災調査報告書に記載することにより、これに代えることができる。

2 前項の規定による火災原因判定書には、原因認定の理由及びその経過を系統的かつ明確に記載しなければならない。

第7章 火災損害調査

(火災損害調査)

第28条 火災の損害調査は、り災物件を詳細に調査し、正確な損害の把握に努めなければならない。

2 り災物件の損害額は、り災した当時の時価により算定する。

3 前項の算出基準は、火災報告取扱要領(平成6年4月21日消防災第100号消防庁長官通知)別表第4に基づくものとする。

(動産り災状況届書等)

第29条 調査員は、火災損害調査のため、り災者その他り災に関係のある者(以下「り災者等」という。)から、動産り災状況届書(様式第7)及び不動産り災状況届書(様式第7の2)の提出を求めるものとする。

2 前項のり災者等の提出拒否その他やむを得ない事由により、提出がされないと認めるときは、その旨の記載について第22条第3項の規定を準用する。

(死傷者調書)

第30条 調査員は、火災により死者又は負傷者が発生したときは、死傷者調書(様式第8)を作成しなければならない。

第8章 資料の提出等

(資料の提出)

第31条 調査員は、調査のため関係者又は火災の原因である疑いがあると認められる製品の製造業者若しくは輸入業者に対して資料の提出を求めるときは、稲沢市火災予防査察規程(平成17年稲沢市消防本部訓令第18号)第15条及び第16条の規定を準用する。この場合において、第15条の規定中「査察」とあるのは、「調査」と読み替えるものとする。

2 前項の規定により提出された資料のうち、保管を必要とするものには、保管票(様式第9)を付け、保管しなければならない。

(官公署への照会)

第32条 調査のため、関係のある官公署に対して必要な事項の通報を求める場合は、様式第10により行うものとする。

第9章 鑑定等

(鑑定等の依頼)

第33条 消防長は、火災原因調査に関し必要があると認めるときは、関係のある官公署又は学識経験者に対して鑑定等を依頼することができる。

第10章 報告

(火災調査報告書)

第34条 調査責任者は、調査の結果を、火災調査報告書(様式第11)(以下「報告書」という。)に次に掲げる書類及び資料を添付して、消防長に報告しなければならない。

(1) 火災原因判定書

(2) 火災出動時における見分調書

(3) 実況見分調書

(4) 現場の復原図

(5) 火災現場記録写真

(6) 火災質問調書

(7) 動産り災状況届書

(8) 不動産り災状況届書

(9) 死傷者調書

(10) 鑑定又は関係官公署の回答書類

(11) その他原因の認定又は損害額の決定の根拠となつた資料

2 前項の規定による報告は、火災覚知の日から、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる期日までに行うものとする。

(1) 建物火災以外の火災 15日

(2) 建物火災で焼損面積が30平方メートル以下のもの 30日

(3) 前号に掲げる以外の建物火災 45日

(書類の省略)

第35条 前条第1項の規定にかかわらず、火災の種別、規模、態様等により必要がないと認めるときは、別表のとおり添付する書類及び資料の一部を省略することができる。

第11章 雑則

(火災として取り扱うに至らない焼損事故)

第36条 予防課長等は、第2条の目的に照らし必要と認めるときは、火災として取り扱うに至らない焼損事故(以下「焼損事故」という。)について調査を行うものとする。

(官公署等からの照会)

第37条 官公署等からの調査の結果について照会を受けたときは、報告書の謄(抄)本又は照会事項についての回答書類を送付するものとする。

(り災証明)

第38条 予防課長は、り災者その他り災に関係ある者から、り災証明書交付願(様式第12)の提出があつたときは、当該火災及び焼損事故の調査の結果、確認した事実に基づいてり災証明書(様式第13)を交付することができる。

(補則)

第39条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。

この規程は、平成17年4月1日から施行する。

(平成18年消本訓令第10号)

この規程は、平成19年1月1日から施行する。

(平成21年消本訓令第8号)

この規程は、平成21年4月1日から施行する。

(平成25年消本訓令第3号)

この規程は、平成25年4月1日から施行する。

(平成26年消本訓令第2号)

この規程は、平成26年4月1日から施行する。

(令和元年消本訓令第2号)

この規程は、令和元年7月1日から施行する。

(令和3年消本訓令第4号)

1 この規程は、令和3年7月1日から施行する。

2 この規程の施行の際現に改正前の各規程の規定に基づいて提出されている書類は、改正後の各規程の規定に基づいて提出されたものとみなす。

3 この規程の施行の際現に改正前の各規程の規定に基づいて作成されている用紙は、改正後の各規程の規定にかかわらず、当分の間、修正して使用することができる。

別表(第35条関係)

添付する書類及び資料












火災種別及び規模の区分

火災原因判定書

火災出動時における見分調書

実況見分調書

現場の復原図

火災現場記録写真

火災質問調書

動産り災状況届書

不動産り災状況届書

死傷者調書

鑑定又は関係官公署の回答書類

その他原因の認定又は損害額の決定の根拠となつた資料

建物火災

焼損面積が30平方メートル以下の火災




上記以外の火災






建物火災以外の火災




※ ○印の書類及び資料は、火災の態様等により省略することができる。

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稲沢市火災調査規程

平成17年4月1日 消防本部訓令第20号

(令和3年7月1日施行)

体系情報
第12編 防/第3章 火災予防
沿革情報
平成17年4月1日 消防本部訓令第20号
平成18年12月27日 消防本部訓令第10号
平成21年3月27日 消防本部訓令第8号
平成25年2月14日 消防本部訓令第3号
平成26年3月31日 消防本部訓令第2号
令和元年6月28日 消防本部訓令第2号
令和3年6月30日 消防本部訓令第4号