○稲沢市手話言語条例

平成30年12月27日

条例第39号

言語は、お互いの気持ちを理解し合い、知識を蓄え、文化を創造する上で欠かせないものです。手話言語は、手や指の動き、表情を使つて視覚的に表現するもので、音声言語である日本語と同様に一つの言語です。そして、手話言語を使い、日常生活及び社会生活を営む者(以下「ろう者」という。)は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために、手話言語を大切に育んできました。

しかしながら、これまで手話言語が言語として認められてこなかつたことや、それを使用することができる環境が整えられてこなかつたことなどから、ろう者は、視覚による情報しか得られず、主張したいことが相手に伝えられず、聞こえないことを理由に我慢を強いられてきました。

このような状況の中で、障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号)及び障害者基本法(昭和45年法律第84号)において、手話言語が言語として位置付けられましたが、その認識はまだ十分とはいえません。

ろう者が地域社会で安心して生活するためには、手話言語に対する理解を深め、それを使用して生き生きと生活できる環境を整えることが必要です。

ここに、手話言語は言語であるとの認識に基づき、手話言語により自由に話し合える環境を整え、ろう者であるかないかにかかわらず、全ての市民(市内に在住、在勤又は在学する個人並びに市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体をいう。以下同じ。)が、共に支え合う地域社会を目指すため、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、手話言語についての基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、手話言語に関する施策を推進することにより、市民がお互いに支え合い、安心して共に生きることができる地域社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 手話言語が言語であることを認識し、全ての市民が相互に人格及び個性を尊重し合いながら共生することを基本とし、ろう者の意思疎通を行う権利を尊重するものとする。

(市の責務)

第3条 市は、前条の基本理念にのつとり、手話言語に対する理解を深め、手話言語を使用しやすい環境づくりのための施策を推進するものとする。

(市民の役割)

第4条 市民は、この条例の基本理念に対する理解を深めるとともに、市の推進する施策に協力するよう努めるものとする。

(施策の推進)

第5条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 手話言語に対する理解の促進及び普及を図るための施策

(2) 手話言語による意思疎通及び情報の取得がしやすい環境づくりのための施策

(3) 手話通訳者の確保及び養成のための施策

(4) 手話言語の獲得及び習得を支援するための施策

(5) 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策

2 市は、前項の施策を推進するに当たつては、ろう者その他関係者と協議の場を設けるものとする。

(財政措置)

第6条 市は、手話言語に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第7条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成31年1月1日から施行する。

稲沢市手話言語条例

平成30年12月27日 条例第39号

(平成31年1月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉
沿革情報
平成30年12月27日 条例第39号