○稲沢市危険物流出等の事故調査規程
平成27年2月16日
消本訓令第6号
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第16条の3の2の規定に基づき、製造所、貯蔵所又は取扱所(以下これらを「危険物施設」という。)で発生した危険物の流出その他の事故(火災を除く。)であつて火災が発生するおそれのあつた事故(以下「危険物流出等の事故」という。)の原因の調査(以下「調査」という。)について、必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、危険物流出等の事故の原因を明らかにし、その調査結果を日常の指導及び立入検査に反映させることにより、類似事故の再発を防止し、もつて火災予防の充実を図ることを目的とする。
(1) 調査員 消防長又は消防署長から調査を命ぜられた消防職員をいう。
(2) 関係者 危険物流出等の事故に直接関与した者、危険物施設の所有者、管理者又は占有者、危険物流出等の事故の目撃者その他の危険物流出等の事故に関係する者をいう。
(調査の責任)
第4条 危険物流出等の事故が発生した管轄区域内の調査責任者は、消防長とする。
2 調査の主体は、予防課長とし、予防課長が調査を行うことができないときの調査の主体は、消防署長とする。
(調査の実施)
第5条 予防課長又は消防署長(以下「予防課長等」という。)は、管轄区域内に危険物流出等の事故を覚知したときは、直ちに調査を実施しなければならない。
2 予防課長等は、調査員に対し、調査の遂行上必要な指示を与えるものとする。
(調査本部の設置等)
第6条 消防長は、危険物流出等の事故が発生した場合において、必要があると認めるときは、調査本部を設置することができる。
2 消防長は、調査が完了したときは、調査本部を解散する。ただし、調査の進捗状況によつては、調査完了前であつてもこれを解散することができる。
(調査員の心得)
第7条 調査員は、調査に必要な知識及び技術の修得に努めるとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員相互に連絡協調を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。
(2) 民事的紛争には、関与しないこと。
(3) 警察機関その他の機関と緊密な連携を保持して調査に当たること。
(4) 調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らさないこと。
(5) 適正公平を旨とし、強制的手段を避け、穏健妥当な方法により、関係者の協力を得るように留意すること。
(6) 調査の経過その他参考となるべき事項を記録し、及び保存すること。
(調査の種別及び区分)
第8条 調査の種別は、基本調査、詳細調査及び長官調査(法第16条の3の2第4項に規定する消防庁長官が行う調査をいう。以下同じ。)とする。
(長官調査の要請)
第9条 消防長が長官調査を要請する場合には、危険物流出等の事故の調査マニュアルについて(平成20年消防危第317号消防庁危険物保安室長通知。以下「事故調査マニュアル」という。)に規定する連携要領により関係機関との調整を行い、調査体制を速やかに構築しなければならない。
(警察機関への通報)
第10条 消防長は、調査に当たり犯罪の疑いがあると認めるときは、直ちにこれを警察機関に通報しなければならない。
(警防活動中の現場保存)
第11条 警防活動に従事する消防職員は、危険物流出等の事故の発生箇所と推定される箇所及びその付近の警防活動に当たつては、細心の注意を払い、現場保存に努めなければならない。
(調査の基本)
第12条 調査は、常に事実の究明を主眼とし、先入観にとらわれることなく、科学的な方法と合理的な判断によつて事実の立証に努めなければならない。
2 調査は、危険物流出等の事故となつた原因を調査するほか、発生に至つた経緯、発生時の作業状況、事故の模様、被害状況等を明らかにするものとする。
(事故調査マニュアルの活用)
第13条 調査に当たつては、事故調査マニュアルを活用するものとする。
(危険物流出等の事故調査報告書)
第14条 調査員は、事故の概要及び被害状況を調査し、危険物流出等の事故調査報告書(様式第1)を作成しなければならない。
(実況見分の原則)
第15条 調査員は、調査を行うとき、危険物流出等の事故現場その他関係のある場所及び物件について、関係者を立会人として実況見分を行い、調査資料の発見及び入手に努めなければならない。
(危険物流出等の事故発生前の状況把握)
第16条 調査員は、実況見分に当たつて、関係者に説明を求め、努めて危険物流出等の事故発生前の状況を明らかにしなければならない。
(警防活動時の実況見分)
第17条 警防活動に従事する消防職員は、現場到着時の危険物流出等の事故の状況、関係者の言動等を見分し、調査員に対しこれらの状況を説明し、又は調査資料を提供しなければならない。
(実況見分調書)
第18条 調査員は、詳細調査又は長官調査に際し、実況見分を行つたときは、実況見分調書(様式第2)を作成しなければならない。
(質問の原則)
第19条 調査員及び警防活動に従事する消防職員は、原因究明のために関係者に対して質問を行うときは、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 質問を行う時期、場所等に配慮し、被質問者の任意の供述を得るよう努めること。
(2) みだりに供述を誘導しないこと。
(3) 伝聞によらない直接経験した事実の供述を得るように努めること。
(質問調書)
第20条 調査員は、詳細調査又は長官調査に際し、質問により知り得た事項で、調査上必要と認めるものは、質問調書(様式第3)に記録しておかなければならない。
2 調査員は、前項の質問調書を被質問者に閲覧させ、又は読み聞かせ、記載事項に誤りがないことを確認し、当該質問調書に署名を求めておかなければならない。ただし、これを拒んだ場合は、その旨を記載するものとする。
3 調査員及び警防活動に従事する消防職員は、第1項の質問を行うに当たつては、児童等の心情を考慮し、十分な理解をもつて当たらなければならない。
4 調査員は、児童等を第15条の実況見分の立会人としてはならない。ただし、年齢、心情等を考慮し、調査員が支障がないと認める場合は、この限りでない。
(調査結果の検討)
第25条 調査員は、詳細調査又は長官調査を行つたときは、実況見分、質問、資料等により知り得た事実を総合的に検討して、危険物流出等の事故の原因を判定しなければならない。
(調査書類の管理)
第27条 この規程により作成した調査書類は、予防課において適正に管理しなければならない。
(調査書類)
第28条 調査員は、調査を終了したときは、次に掲げる書類のうち該当する書類を次に記載した順に整理編さんするものとする。
(1) 危険物流出等の事故調査報告書
(2) 実況見分調書
(3) 質問調書
(4) 資料提出命令書
(5) 報告徴収書
(6) 資料提出書
(7) 危険物流出等の事故原因判定書
(8) その他必要な書類
(報告)
第29条 調査員は、前条の調査書類を原則として危険物流出等の事故の覚知から30日以内に消防長に報告しなければならない。
2 調査員は、危険物流出等の事故の調査が長期にわたるとき又は特に必要があるときは、調査の経過について消防長に中間報告を行い、緊密な連絡保持に努めなければならない。
(参考人又は証人としての出頭等)
第30条 調査員は、自己の担当した調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼び出し若しくは召喚を受けた場合は、消防長にその事案概要を報告しなければならない。
2 前項により出頭し、又は呼び出し若しくは召喚を受けた結果についても同様とする。
(補則)
第31条 この規程に定めるもののほか、この規程の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
付則
この規程は、平成27年4月1日から施行する。
付則(平成28年消本訓令第3号)抄
この規程は、平成28年4月1日から施行する。
付則(令和元年消本訓令第2号)
この規程は、令和元年7月1日から施行する。
付則(令和3年消本訓令第2号)
1 この規程は、令和3年4月1日から施行する。
2 この規程の施行の際現に改正前の各規程の規定に基づいて提出されている書類は、改正後の各規程の規定に基づいて提出されたものとみなす。
3 この規程の施行の際現に改正前の各規程の規定に基づいて作成されている用紙は、改正後の各規程の規定にかかわらず、当分の間、修正して使用することができる。
付則(令和3年消本訓令第4号)
1 この規程は、令和3年7月1日から施行する。
2 この規程の施行の際現に改正前の各規程の規定に基づいて提出されている書類は、改正後の各規程の規定に基づいて提出されたものとみなす。
3 この規程の施行の際現に改正前の各規程の規定に基づいて作成されている用紙は、改正後の各規程の規定にかかわらず、当分の間、修正して使用することができる。
別表(第8条関係)
種別 | 区分 |
基本調査 | 「危険物に係る事故及びコンビナート等特別防災区域における事故の報告」の改正について(平成15年消防危第85号・消防特第175号消防庁危険物保安室長・特殊災害室長通知)第2 1報告の対象に規定する事故で、詳細調査及び長官調査を除くもの |
詳細調査 | 1 危険物の流出が認められる事故で、次のいずれかに該当するもの (1) 危険物施設(製造所及び一般取扱所を除く。)から危険物が10kl以上流出した事故 (2) 製造所又は一般取扱所から危険物が指定数量(危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第1条の11に規定する数量をいう。以下同じ。)の10倍以上流出した事故 (3) 地下に埋設されたタンク又は配管から危険物が指定数量以上流出し、又は敷地外に流出した事故 (4) 危険物の流出に起因し、死者が発生した事故 2 危険物の流出の有無に関係なく容量500kl以上の屋外タンク貯蔵所の基礎・地盤又はタンク本体(屋根、浮き屋根又はインナーフロートタンクの浮き蓋を含む。)が破損、変形、沈下、傾斜等の異常な状態となつた事故 3 消防長が類似事故の防止又は予防対策の必要性等の観点から詳細調査を行うことが必要と認めた事故 |
長官調査 | 危険物の流出が認められる事故で、次のいずれかに該当するもの 1 容量500kl以上の屋外タンク貯蔵所から危険物が100kl以上流出した事故 2 容量500kl以上の屋外タンク貯蔵所以外の危険物施設から危険物が50kl以上流出した事故 3 製造所又は一般取扱所から危険物が指定数量の10倍以上流出した事故で事故原因の特定が困難なもの 4 地震その他の特異な状況(地震等の自然災害、構造上の問題(強度不足等)が推察される等の状況をいい、バルブの操作ミス、他の施設の爆発等の状況を除く。)により、容量500kl以上の屋外タンク貯蔵所の基礎・地盤又はタンク本体(屋根、浮き屋根又はインナーフロートタンクの浮き蓋を含む。)が座屈、沈下、傾斜等の異常な状態となつた事故 5 社会的な影響の大きな事故で、消防長が長官調査の実施が適当と考えた事故 |