○VDT作業における労働衛生管理基準
平成6年4月1日
施行
1 目的
この基準は、VDT(Visual Display Terminal)作業における作業管理、環境管理及び健康管理等について必要な事項を定め、VDT作業に従事する者の健康と安全を確保することを目的とする。
2 対象作業等
画面表示装置、キーボード及びプリンター等により構成されたコンピューター、ワードプロセッサー並びにコンピュータ端末装置等のVDT機器を用いて行う文書作成、データの入出力、検索、加工及びプログラミング等の作業(以下「VDT作業」という。)を、毎日2時間以上又は1週間を通して10時間以上のVDT作業を行う者(以下「作業者」という。)を対象とする。
3 作業管理
(1) 作業管理
VDT作業の管理に当たっては、作業者のVDT作業時間を極力短くするよう配慮すること。VDT作業以外の作業の組込み、作業者のローテーションを実施することが望ましい。
(2) 作業休止時間、小休止
VDT作業に従事する作業者が、連続して1時間以上に及ぶVDT作業を行う場合は、1時間について15分程度の作業休止時間を設けるとともに、一連続作業時間内において2回程度の小休止を設けること。
(3) 机、椅子
ア 椅子は、安定しており、移動できるものであること。
イ 床からの座面の高さが調整できるものであること。
ウ 机(作業台)は、VDT機器、キーボード、文書及び書見台その他VDT作業に必要なものが適切に配置できる広さを有すること。
エ 脚まわりの空間は、作業中に脚が窮屈でない広さを有すること。
オ 机の高さは、床から60cm以上75cm以下のものであること。
(4) 調整
無理な姿勢による作業が継続しないようにするため、次の事項に留意のうえ、椅子の座面の高さ、キーボード、CRTディスプレイの位置等を総合的に調整すること。
ア 椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とすること。
イ 椅子と大腿部膝側背面との間には手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないようにすること。
ウ 上腕をほぼ鉛直に垂らし、かつ、上腕と前腕の角度を90度又はそれ以上の適当な角度を保持したときに、キーボードに自然に手指が届くようにすること。
エ CRTディスプレイは、その画面の上端が眼の位置より下になるような高さにすること。
また、おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにすること。
オ CRTディスプレイ画面とキーボード又は書類との視距離の差が極端に大きくなく、かつ、適切な視野範囲になるようにすること。
(5) 整理、整頓
VDT作業場所は、整理、整頓に心がけ快適な作業空間を保持すること。
4 作業環境管理
(1) 照明、照度
VDT作業を行う室内の照明は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。ディスプレイ画面における照度は、500ルクス以下、書類及びキーボード面における照度は、300ルクスから1,000ルクスを目安とすること。
(2) 温度、湿度、騒音
作業者にとって快適な温度、湿度が確保できるよう配慮し、過度な暖房、冷房とならないようにすること。機器の設置については、騒音の防止を考慮して設置場所を決めること。
(3) まぶしさ、ちらつきの防止
直接太陽光が入射するなどの高輝度の窓には、ブラインド又はカーテンを設ける等必要な措置を講ずること。また、採光及び照明等の光源がディスプレイ画面に映り込まないよう、かつ、作業者の目に入らないようディスプレイの設置位置の調整等必要な措置を講ずること。
5 健康管理
(1) 健康診断
VDT作業に常時従事する作業者に対して定期的に健康診断を実施し、適正な健康管理に努めること。
(2) 健康診断の検査項目
ア 業務歴
イ 既往歴及び自覚症状の有無
ウ 視力
エ 5m視力
オ 近点距離
カ 乱視
キ 握力
ク 視診及び触診
(3) 健康診断の事後措置
健康診断の結果VDT作業を軽減又は中止する必要があると診断された者については、速やかに必要な措置を講ずること。
(4) OA体操
手指、腕、首筋、肩、腰部の疲れ、こりの防止と解消を図るため軽い体操をVDT作業終了後、又は操作中に適時励行するように心掛けること。
6 労働衛生教育
VDT作業に関する労働衛生教育は、VDT作業者の年齢、経験等を考慮しつつ次の事項について、所属長がVDT作業者に対して指導するものとする。
ア VDT作業の生理的、心理的負担の特性と発生のおそれのある健康障害
イ 作業休止時間の取り方、疲労回復方法及び不調を感じたときの処置
ウ 健康診断の目的及びその意義
エ 作業環境の点検及び維持の方法
オ 機器等の特性及び使用方法
カ 作業計画の立て方
キ その他VDT作業に係る労働衛生上留意すべき事項
付 記
この基準は、平成6年4月1日から施行する。
付則
この基準は、平成16年4月1日から施行する。