○稲沢市環境基本条例

平成15年9月12日

条例第22号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 基本的施策(第7条―第12条)

第3章 総合的推進のための施策(第13条―第17条)

第4章 効果的推進のための施策(第18条―第20条)

第5章 稲沢市環境審議会(第21条―第26条)

付則

私たちのまち稲沢市は、肥沃な土壌、温和な気候に育まれた豊かな自然環境と多くの歴史的文化的遺産の恵みを受け、古くから植木、苗木の生産で栄え、緑豊かなまちとして、これまで産業、文化、住まいが調和したまちとして発展し続けてきた。

しかしながら、今日の私たちの生活を支えてきた大量生産、大量消費、大量廃棄を基調とする社会経済活動や生活様式は、便利さや物質的な豊かさをもたらす一方で、環境への負荷を増やし、地球温暖化等の地球環境問題を顕在化するに至つている。

もとより、すべての市民は、良好で快適な環境の下に健康で文化的な生活を営む権利を有するとともに、かけがえのない環境を健全で恵み豊かなものとして、将来の世代に引き継ぐ責務を有している。

このような認識の下に、私たちは、市、事業者及び市民がそれぞれの役割を果たし協働することにより、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築して、人と自然とが共生することのできる環境都市を実現するため、ここに、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本的事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて現在及び将来の世代の市民の健康で文化的な生活の確保及び福祉の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であつて、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴つて生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によつて、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。

(3) 地球環境保全 人の活動による地球温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であつて、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全は、健全で恵み豊かな環境が市民の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、現在及び将来の世代の市民がこの恵沢を享受することができるように適切に行われなければならない。

2 環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動が、市、事業者及び市民それぞれの責務に応じた役割分担の下に積極的に行われるようになることによつて、持続的に発展することが可能な社会が構築されることを旨として行われなければならない。

3 地球環境保全は、市、事業者及び市民が自らの課題であることを認識して、それぞれの事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、市域の自然的社会的条件に応じた総合的かつ計画的な環境の保全に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、自らの施策を策定し、及び実施するに当たつては、環境への負荷の低減に努めなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たつては、これに伴つて生ずる公害を防止し、及び廃棄物を適正に処理し、並びに自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 前項に定めるもののほか、事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たつて、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動に関し、環境の保全に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(市民の責務)

第6条 市民は、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、環境の保全に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 基本的施策

(公害の防止等)

第7条 市は、市民の健康の保護及び生活環境の保全のため、公害の防止、廃棄物の適正処理等に関して必要な措置を講じなければならない。

(自然環境の保全)

第8条 市は、動植物の生育環境等に配慮することにより、農地、河川等における多様な自然環境を適正に保全するため、必要な措置を講じなければならない。

(快適な環境の確保)

第9条 市は、都市の緑化、水辺の整備、良好な景観の確保、歴史的文化的遺産の保全等を図ることにより、潤いと安らぎのある快適な環境を確保するため、必要な措置を講じなければならない。

(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進等)

第10条 市は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるように、必要な措置を講じなければならない。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び市民による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの合理的かつ効率的な利用が促進されるように、必要な措置を講じなければならない。

(環境の保全に資する施設の整備等)

第11条 市は、下水道、廃棄物の処理施設、公園、緑地その他の環境の保全に資する公共的施設の整備を積極的に推進するとともに、これらの施設の適切な利用の促進に努めなければならない。

(環境教育の充実及び環境学習の促進)

第12条 市は、市民及び事業者が環境の保全についての関心と理解を深め、又はこれらの者による自発的な環境の保全に関する活動の促進に資するため、環境教育を充実し、及び環境学習が促進されるように、必要な措置を講じなければならない。

第3章 総合的推進のための施策

(環境基本計画の策定)

第13条 市長は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、稲沢市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全に関する目標

(2) 環境の保全に関する施策の基本的方向

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たつては、あらかじめ、市民の意見を反映する措置を講ずるとともに、稲沢市環境審議会の意見を聴くものとする。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境基本計画の実施に当たつての措置)

第14条 市は、前条の環境基本計画の実施に当たつては、その効果的な推進及び総合的な調整を行うため、必要な措置を講ずるものとする。

(施策の策定等と環境基本計画との整合)

第15条 市は、自らの施策を策定し、又は実施するに当たつては、環境基本計画との整合を図るように努めなければならない。

(年次報告書の作成、公表等)

第16条 市長は、環境の状況、環境基本計画に基づき実施された施策の状況等について年次報告書を作成し、これを公表しなければならない。

(開発事業等に係る環境への配慮の推進)

第17条 市は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりその事業に係る環境への影響について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

第4章 効果的推進のための施策

(情報の提供及び市民等の意見の反映)

第18条 市は、環境の状況その他の環境の保全に関する情報を適切に提供するとともに、環境の保全に関する施策に市民及び事業者の意見を反映させるため、必要な措置を講ずるものとする。

(市民等の自主的活動の促進)

第19条 市は、市民及び事業者が自主的に行う再生資源の回収活動、環境美化活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(国、他の地方公共団体等との協力)

第20条 市は、環境の保全を図るための広域的な取組を必要とする施策の実施に当たつては、国、他の地方公共団体等と協力して、その推進に努めるものとする。

第5章 稲沢市環境審議会

(設置)

第21条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、稲沢市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第22条 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する基本的事項

(組織)

第23条 審議会の委員は、20人以内とし、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 関係行政機関の職員

(3) 事業者の代表者

(4) その他市長が特に必要と認める者

(任期)

第24条 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任を妨げない。

(会長及び副会長)

第25条 審議会に会長及び副会長を置く。

2 会長及び副会長は、委員の互選によつて定める。

3 会長は、会務を総理し、会議の議長となる。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(委任)

第26条 第21条から前条までに定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成15年10月1日から施行する。

(稲沢市環境審議会条例の廃止)

2 稲沢市環境審議会条例(平成8年稲沢市条例第4号)は、廃止する。

3 この条例の施行の際現にこの条例による廃止前の稲沢市環境審議会条例第3条に規定する稲沢市環境審議会の委員に委嘱されている者は、この条例の施行の日に第23条に規定する稲沢市環境審議会の委員に委嘱された者とみなす。この場合における第24条第1項の規定の適用については、同項中「2年」とあるのは、「付則第2項の規定による廃止前の稲沢市環境審議会条例第3条の規定により稲沢市環境審議会の委員に委嘱された日から2年」とする。

稲沢市環境基本条例

平成15年9月12日 条例第22号

(平成15年10月1日施行)

体系情報
第8編 生/第3章
沿革情報
平成15年9月12日 条例第22号