○稲沢市文化財保護条例

昭和51年12月25日

条例第34号

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき、市の区域内に存する文化財のうち重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もつて市民の文化の向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例で「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げるもののうち、市の区域内にあり、かつ、法又は愛知県文化財保護条例(昭和30年愛知県条例第6号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けていないものをいう。

(財産権等の尊重及び他の公益との調整)

第3条 稲沢市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の施行に当たつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

第2章 市指定文化財

(指定)

第4条 教育委員会は、文化財のうち市にとつて重要なものを稲沢市指定有形文化財(以下「市指定有形文化財」という。)、稲沢市指定無形文化財(以下「市指定無形文化財」という。)、稲沢市指定有形民俗文化財(以下「市指定有形民俗文化財」という。)、稲沢市指定無形民俗文化財(以下「市指定無形民俗文化財」という。)又は稲沢市指定史跡、稲沢市指定名勝、若しくは稲沢市指定天然記念物(以下「市指定史跡名勝天然記念物」という。)(以下「市指定文化財」と総称する。)に指定することができる。

2 教育委員会は、市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財の指定に当たつては、その保持者又は保持団体(無形文化財を保持するものが主たる構成員となつている団体で、代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定する。指定後においても必要と認めるときは、保持者又は保持団体を追加して認定することができる。

3 教育委員会は、第1項の規定により指定をしようとするときは、市指定有形文化財又は市指定有形民俗文化財の指定にあつては当該文化財の所有者の、市指定史跡名勝天然記念物の指定にあつては当該文化財の所有者及び権限に基づく占有者の同意をあらかじめ得なければならない。ただし、当該文化財の所有者又は権限に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。

4 教育委員会は、第1項の規定による指定又は第2項の規定による認定をしようとするときは、あらかじめ稲沢市文化財保護審議会に諮問しなければならない。

5 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、市指定有形文化財及び市指定有形民俗文化財の指定にあつては所有者に、市指定史跡名勝天然記念物の指定にあつては所有者及び権限に基づく占有者に、市指定無形文化財及び市指定無形民俗文化財の指定にあつては保持者又は保持団体として認定しようとする者(保持団体にあつてはその代表者)に通知してする。

6 第1項の規定による指定は、前項の規定による告示があつた日からその効力を生ずる。

7 教育委員会は、第1項の規定により市指定有形文化財又は市指定有形民俗文化財の指定をしたときは、当該市指定文化財の所有者に指定書を交付し、市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財の指定をしたときは、当該文化財の保持者又は保持団体に認定書を交付する。

(解除)

第5条 教育委員会は、市指定文化財が市指定文化財としての価値を失つたと認められるとき、その他特殊の事由があるときは、その指定を解除することができる。

2 教育委員会は、市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財の保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められるとき、保持団体がその構成員の異動のため、保持団体として適当でなくなつたと認められるとき、その他特殊の事由があるときは、保持者又は保持団体の認定を解除することができる。

3 第1項の規定による指定の解除及び第2項の規定による認定の解除は、前条第4項から第6項までの規定を準用する。

4 市指定文化財が法又は県条例の規定による指定を受けたときは、当該市指定文化財の指定は解除されたものとする。

5 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、市指定有形文化財及び市指定有形民俗文化財であつたものにあつては所有者に、市指定史跡名勝天然記念物であつたものにあつては所有者及び権限に基づく占有者に、市指定無形文化財及び市指定無形民俗文化財であつたものにあつては保持者又は保持団体として認定されていた者(保持団体にあつてはその代表者)に通知する。

6 第3項で準用する前条第5項又は前項の規定により通知を受けたときは、市指定有形文化財又は市指定有形民俗文化財であつたものの所有者は指定書を、市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財の保持者又は保持団体として認定されていた者は認定書を速やかに教育委員会に返付しなければならない。

(所有者の管理義務及び管理責任者)

第6条 市指定有形文化財、市指定有形民俗文化財及び市指定史跡名勝天然記念物(以下「有形の市指定文化財」という。)の所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、当該市指定文化財を管理しなければならない。

2 有形の市指定文化財の所有者は、特別の事情があるときは、もつぱら自己に代わり、当該市指定文化財の管理の責に任ずべき管理責任者を選任することができる。

3 有形の市指定文化財の所有者は、前項の規定により管理責任者を選任したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合及び管理責任者の氏名若しくは名称又は住所を変更した場合も同様とする。

4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(所有者の変更等)

第7条 市指定有形文化財及び市指定有形民俗文化財の所有者が変更したとき、又は所有者の氏名、名称、若しくは住所を変更したときは、速やかに指定書を添えてその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 市指定史跡名勝天然記念物の所有者又は権限に基づく占有者が変更したとき、又はその氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

3 市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財の保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあつては代表者であつた者)についても同様とする。

(滅失、き損等)

第8条 有形の市指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更等)

第9条 市指定有形文化財及び市指定有形民俗文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者(管理責任者がある場合はその者)は、あらかじめ指定書を添えてその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則の定める場合には届出を要せず、又は所在の場所を変更した後届け出ることをもつて足りる。

2 市指定史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があつたときは、所有者(管理責任者がある場合はその者)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(管理又は修理の補助)

第10条 有形の市指定文化財の管理又は修理に要する経費は、所有者の負担とする。ただし、多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、市はその経費の一部に充てさせるため、当該所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合にあつては、稲沢市補助金等交付規則(昭和50年稲沢市規則第4号)に定めるところによる。

(管理又は修理に関する勧告)

第11条 有形の市指定文化財の管理が適当でないため、当該市指定文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。

2 有形の市指定文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めたときは、教育委員会は、所有者に対してその修理について必要な勧告をすることができる。

3 前2項の規定に基づいてする措置又は修理のために要する費用は、市が予算の範囲内で補助金を交付することができる。

4 前項の補助金を交付する場合にあつては、稲沢市補助金等交付規則の定めるところによる。

(譲渡の場合の納付金)

第12条 市が修理又は管理に関し必要な措置(以下「修理等」という。)につき前2条の規定により補助金を交付した有形の市指定文化財のその当時における所有者又は相続人、受遺者若しくは受贈者は、補助に係る修理等が行われた後、教育委員会の許可を得ないで当該市指定文化財を譲渡したときは、当該補助金の全額を市に納付しなければならない。

2 補助金に係る修理等が行われた後、当該市指定文化財を市に譲渡した場合、その他特別の事情がある場合には、市は、第1項の規定により納付すべき金額の全部又は一部を免除することができる。

(現状変更等の制限)

第13条 市指定有形文化財及び市指定史跡名勝天然記念物に関し、その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、所有者又はその権限に基づく占有者は、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、教育委員会規則の定める範囲の維持の措置をする場合は、この限りでない。

2 教育委員会は、前項の許可を与える場合において、その許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

3 第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかつたときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

4 市指定有形民俗文化財に関し、その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、所有者は、教育委員会に届け出なければならない。

(修理の届出等)

第14条 有形の市指定文化財を修理しようとするときは、所有者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、第10条第1項の規定による補助金の交付、第11条第2項の規定による勧告若しくは前条第1項の規定による許可を受け、又は前条第4項の規定による届出をして修理を行う場合は、この限りでない。

2 有形の市指定文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導と助言をすることができる。

(公開)

第15条 教育委員会は、有形の市指定文化財の所有者に対し、3か月以内の期間を限つて教育委員会の行う公開の用に供するため、当該市指定文化財を出品することを勧告することができる。

2 教育委員会は、有形の市指定文化財の所有者に対し、3か月以内の期間を限つて当該市指定文化財の公開を勧告することができる。

3 第1項の規定による出品のために要する費用は、予算の範囲内で市の負担とすることができる。

4 市は、第1項の規定により出品した所有者に対し、報償金を支給することができる。

5 教育委員会は、第1項の規定により有形の市指定文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該市指定文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。

6 教育委員会は、第2項の規定による公開及び当該公開に係る市指定文化財の管理に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、当該管理について、指揮監督することができる。

7 教育委員会は、市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財の保持者又は保持団体に対し市指定文化財の公開を、市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。

8 市は、前項の規定による市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財及びその記録の公開に要する経費を予算の範囲内で負担することができる。

9 第2項の規定による公開の場合を除き、有形の市指定文化財の所在の場所を変更してこれを公衆の観覧に供するため、第9条の規定による届出があつた場合には、教育委員会は、当該市指定文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。

(調査)

第16条 教育委員会は、必要があると認めるときは、有形の市指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況を調査し、又は所有者若しくは管理責任者に対し報告を求めることができる。

(所有者変更に伴う権利義務の承継)

第17条 有形の市指定文化財の所有者が変更したときは、新所有者は当該市指定文化財に関し、この条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。

2 前項の場合には、旧所有者は、当該市指定文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。

第3章 稲沢市文化財保護審議会

(設置)

第18条 教育委員会に稲沢市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第19条 審議会は、教育委員会の諮問に応じて文化財の保護及び活用に関する重要事項について調査審議し、その結果を教育委員会に答申する。

(組織)

第20条 審議会は、文化財に関し学識経験を有するもののうちから教育委員会が任命する15人以内の委員で組織する。

2 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。

3 委員に欠員を生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長)

第21条 審議会に会長を置き、委員の互選により定める。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

3 会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長の指名する委員がその職務を代理する。

(会議)

第22条 審議会は、会長が招集する。

2 審議会は、半数以上の委員が出席しなければ会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数をもつて決し、可否同数のときは会長の決するところによる。

4 審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮つて定める。

第4章 補則

(委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(施行期日等)

1 この条例は、昭和52年4月1日から施行する。

2 この条例施行前、稲沢市文化財保護条例(昭和34年稲沢市条例第12号。以下「旧条例」という。)により指定された文化財は、この条例施行の日から3か月以内に指定解除の申出のない限り、この条例の規定により指定された文化財とみなす。

3 この条例の施行の際現に旧条例第4条第1項の規定により指定されている稲沢市指定民俗資料は、この条例の規定の適用については、第4条の規定により指定された稲沢市指定有形民俗文化財とみなす。この場合において、旧条例の規定により交付された稲沢市指定民俗資料の指定書は、第4条第7項の規定により交付された稲沢市有形民俗文化財の指定書とみなす。

(任期の特例)

4 祖父江町及び平和町の編入の日の前日において、第20条第1項の規定により任命されている委員の任期は、同条第2項の規定にかかわらず、平成17年3月31日までとする。

(平成17年条例第106号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成18年条例第63号)

この条例は、公布の日から施行する。

稲沢市文化財保護条例

昭和51年12月25日 条例第34号

(平成18年12月27日施行)

体系情報
第7編 育/第4章 文化財
沿革情報
昭和51年12月25日 条例第34号
平成17年4月1日 条例第106号
平成18年12月27日 条例第63号